東京ニットファッション工業組合

　私たち東京ニットファッション工業組合（TKF）は、墨田区を中心とした東京東部で、メリヤス生地、セーターやカットソーなどの製品、関連する資材などを製造する中小企業が中心の工業組合です。
　東京ニットの歴史は、江戸時代の元禄期に長崎で手編みのニットが作られ、その後江戸の武士たちの間で内職として広まりました。作っていたのは、靴下や刀のつか袋やつば袋、印籠下げなどです。明治になると廃藩置県に伴い、失業した武士たちが続々とメリヤス業に転向しました。大名屋敷のいくつかもメリヤス工場に変貌し、本所地区（現在の墨田区南部）はメリヤス産業の一大拠点として発展しました。これが、東京が国内ニット産業発祥の地といわれる所以です。
　大正時代は、着物から洋服への普及が本格化し、国内工業が急ピッチで進み、メリヤス産業は更に飛躍しました。技術教育も進み、品質向上や独自技術の確立もみられた時期です。昭和に入ると、世界各国の優れた編み機が導入され、生産効率や品質向上、生産アイテムの拡大が進み、一大産業へと成長するものの、東京大空襲により本所地区は致命的な打撃を受けました。しかし、戦争終結後の混乱期を乗り越え、朝鮮戦争による特需により、急速に復興を遂げ、その後の高度成長期には東京オリンピック開催を境にスポーツ製品やアウトウエアの生産が盛んとなり、業界全体も大きな転換期を迎えることとなりました。
　現在は、ニット産地としての付加価値を向上させるため、技術・品質を保証する認証制度をつくり「ニットといえば東京（TKFブランド）」という事業展開を図っています。また、精緻なものづくり、完璧なデリバリー、真摯な取引姿勢といった、ものづくりにおける日本人気質を「ＴＯＫＹＯ ＫＮＩＴブランド」の強みとして訴求することで、「東京」をニット産業としてブランド化し、広く国内外にアピールしていきます。